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categoryおとぎの国の王子と魔獣

おとぎの国の王子と魔獣

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1.おとぎの国に住む王子
「……であるからして……聞いておられますかな王子?」

「いてっ!」

 俺の帝王学教育係のエドワードはいつも容赦がない。

 今日もいい陽気だなぁ……なんて少し余所見をしただけで辞書の角でゴツンとやられた。
 
 エドワードは他国出身者ではあるが、俺が生まれる前からこの国にいるし、王妃である母上の兄なので俺のことも王子というより実の子供か年の離れた弟のように思ってい
るらしい。

「それよりエドワード、昨日俺の花嫁候補にと送られてきたルガール王国の皇女の肖像画なんだけど、やっぱり母上には負けるよなぁ」

「そんなことばかりおっしゃっているから王子のマザコン病は他国にまで知れ渡ってしまっているのです。11歳にもなって情けない……」

エドワードが大げさに嘆いてみせる。

「でも母上より美しい女なんていやしないよ。ちょっと体は弱いけど、その儚げなところが守ってあげたい風情だし。エドワードもそう思うだろ?」

「……まあ、妹が美人なのは間違いないですけどね」

 俺の事をとやかく言う割には自分もシスコンのエドワードはその辺は素直に頷く。
なにしろ母上は本当に美しい。流れるように豊かな金糸の髪に湖水のような瞳。優雅を絵に描いたような物腰も女性の鏡と言える。

「美姫で有名なクリスタル姫もアヤネシア姫もたいした事なかったし。
 セシーナ姫に至っては送られてきた肖像画とはもう全然別人だったし。
 あ~あエドワード、早く結婚してくれよ。もう30過ぎたのに何で結婚しないんだよ。
 エドワードのところの娘だったら凄い美人が生まれそうじゃん?」

 いたずらっぽくエドワードを見ると奴はじろりと俺を睨んだ。

「何をたわけたことをおっしゃいますか。
 そもそもわが国の次期王位継承権を持つ王子は他国の……それも貧しい小国の姫を娶るという玉条があります。
 王位を持たない私に娘が出来たとしても王子のお相手にはなりませんよ。
 それに今から結婚してすぐ娘が出来たとしてもエルシド王子とは12歳も離れることになります。
 晴れてマザコンの汚名を返上したとしても今度はロリコンという最悪の汚名をかぶることになります」

「はぁ~。冗談だよ。だけど何で他国の、それも貧しい国の姫じゃないといけないんだ?」

「不遜ながら申し上げますと、エルシド王子様や代々の王が苦労知らずだからですよ。
 この大国エルシオンと違って私の出身国のアイネシスはそれはそれは貧しい国でした。
 国が貧しいがゆえにわずかな利権をめぐって争いが絶えず、おまけにイナゴはわくは洪水は起こりやすいわ、兄妹は8人もおりましたが疫病も2度ほど凄いのがはやりまして 残ったのはわずか3人です。

 今はこの国から治水工事や農業指導などの援助を受け、かなりましにはなりましたが貧しい国というのはそれはもう悲惨なものなのです。」

 エドワードが深いため息をつきながら言う。

「うんまあ……そうだよな。ごめん。無神経なこと言っちゃって。
 確かにそういうのを目の当たりにしてないから俺って考えが甘いよなぁ。」

「そうですとも。
 ただ、エルシオンのような豊かな大国であっても贅沢を好む王を戴けば国を傾けるか他国を侵略して富を奪うことのみを考える悪魔の国となります。
 私どもは物心ついたころからそういう大国からの侵略を恐れてまいりました。
 妹である王妃様も同じですよ。
 そういう苦労を重ねてきたパートナーを持つことによって大国エルシオンの王が小国の心を知り、またそういう国を助けつつ同盟の輪を広げ、奢ることなく国を富ませていく事をお優しい始祖王シヴァ様と建国の能臣アースラ様は望まれたのです」

「ふ~ん……確かにこの国はもう300年近く平和を保っているし、母上はこんな大国に嫁ぎながらとても質素で優しい方でいらっしゃる。
 やっぱり結婚するなら母上みたいな方がいいよなぁ。
 これがあの大国アレス帝国あたりの姫ならいくら美女でも鼻持ちならないだろうし」

「第一皇女のグレーシス様のことですか?
 大変な美女と伺ってますが御気性は激しいようですね。
 というかあそこは国自体が激しいようですし、仕方が無いと言えば仕方がないといえるでしょう」

「……いくら美女でも性格の悪い年増は嫌だし俺、ヴィーとでも結婚しようかな」

 そう言うとエドワードは白い目で俺を見た。

「何ですか。王子はマザコン、ロリコンに続いてシスコンの変態三冠王でもねらってらっしゃるんですか?
 妹姫様とは結婚出来ませんよ?」

「あったりまえだろ!! だいたいヴィーは赤ちゃんだし。シスコンの変態はお前だし。
 ちょっと言ってみただけなのにすぐエドワードは言葉尻を捕らえてギャーギャー言うんだから嫌になるよなー」

 少しむくれて見せるとエドワードは「あはは」と笑った。



 勉強の時間が終わると俺はいつもこっそりと厨房に行く。
 おやつはそれなりのものが出るのだが、俺はジェシカおばさんの作る残り野菜のかりんとうとか魚の骨の揚げせんべいとかそういう素朴なお菓子が大好きで、いつもたかりに行く。
   
 おばさんは本当に腕のいい料理人で俺のことも小さい頃からとても可愛がってくれる。だから勉強の骨休めにもなってすごく楽しい。
 その日もエドワードに見つからないようこっそりと忍んで行くとジェシカおばさんは珍しく神妙な顔をしてチーフと話をしていた。
 別に立ち聞きするつもりではなかったが俺はその話の内容に出て行くに行けなくなった。

 ええっ!!
 父上が浮気!!!

 いや、無い無い絶対無い!!
 確かに父上は金髪・金眼の正統派美形で、いまだ城のミーハーな女たちにキャーキャー言われている。
 でもそんな声なぞ耳に入らないぐらい父は母上にぞっこんで、超でろ甘だ。
 それにうちの国では始祖王が定めた絶対法律により后は一人と決まっている。
 違反した王は上半身裸になって腹に愉快な顔を描いた上、鼻の穴に割り箸を突っ込んで国中隅々まで踊り回らねばならないという恐ろしい刑罰もあるため浮気を試みたチャレンジャーは有史以来一人もいない。

「……で……本当にお気の毒で……王妃様は……」

 何々、肝心なところがよく聞こえない。
 ばれないように薄く開いたドアにへばりついて聞き耳を立てていたらポン……と頭を叩かれた。

 げ。エドワード!!
 こんなタイミングで来るなよ!!

「王子こちらへ」

 エドワードが俺の口をふさいだままずるずると引きずっていく。

「……っぷは。何すんだよエドワード!!
 それより大変だ!! 父上の浮気が発覚した!!
 母上に知られる前に何とかしなくては!!!」

「もう妹はとっくの昔に知っていますよ」

 エドワードはため息をついた。
 そして周囲に人がいないことを確かめてからこう言った。

「王が密かに妾妃を娶られたのはもう10年も前で当然妹も知っています」

「じゅ……十年も前から…………」

 俺は絶句した。

「でも王は別に他の女性に心を移したわけではありません。仕方が無かったのです。
 これは王子もご存知の事でしょうが、王夫妻は大変仲がお宜しく、王子がお生まれになったすぐ後にもご懐妊なさったのです。
 
 でも思わぬ事故のため半年とたたないうちに流産してしまい、もう次の子供は望めないと医師に言われました。
 こう申し上げては大変失礼ですが、お世継ぎとなる子供が一人しかいらっしゃないというのはこの国にとって大変な事です。
 たった一人のお跡継ぎがもし病気や事故で身まかられでもしたら、この国は乱れに乱れてしまいます。
 そこでそのような時にのみ妾妃を内密に娶り、子が生まれたなら正妃の実子として育ててもよいという裏法律にしたがって王も他の女性を囲われたのです」

「そ、そんな……」

「王が密かに妾妃を娶ったことは城に古くからいる極一部の者しか知りません。
 それにその女性は王の子である男児を身ごもったようですが出産の事故で母子共に亡くなったとお聞きしています。
 だからもう、本当に昔の事です。
 王もそれを境に妹と一揉めありましたし、外では何事も無いように振舞っていた妹も気が臥せってすっかり体が弱くなってしまいました。
 それで王も諦めてエルシド王子を大切に育て、14歳になったらさっさと年上の姫でもあてがってそちらで子孫を残せばよいのではとおっしゃりそのように着々と計画されておられました」

 ち……父上酷い……俺そんな事一言も聞いてない……。

「まあ奇跡的にヴィエレッタ様がお生まれになりましたので王子のタイムリミットは伸びたんじゃないかと私は思っておりますがね。
 そうでなければ今頃問答無用で婚約者を決められていた事でしょう」

 ……ヴィエレッタ!! 生まれてくれてありがとう!!
 俺ってそんなにピンチだったんだ……。

 いずれは結婚するとしても、俺にだって可愛くて性格が良くて俺が初恋という清楚で穢れないちょっと儚げな5歳ぐらい年下の女の子と運命的な出会いをして結婚したいというささやかな夢がある。
 そんな理由で無理やり結婚させられたらたまらない。


 午後の勉強も終え夕方になると俺はいつものようにヴィエレッタに会いに行った。
 この妹は本当にかわゆい。
 俺はどちらかというと父上似で金髪とはいえ光に透けるような淡い色じゃないし瞳も湖水色じゃない。
 でもヴィエレッタの容姿は本当に母譲りで髪は思わず触れたくなるようなふわふわの金糸。瞳は湖水色。もう間違いなく美人になるだろう。
 それでなくても俺はずっと一人っ子だっただけに妹の存在は愛しく、その可愛さは言葉では表せない。
 しかも俺にとってヴィーは恩人である事も今日わかったのだ。

「ほらヴィエレッタ、高い高い~!!」

 新生児のうちはふにゃふにゃで抱っこするのも怖かったが生後半年もたつと体もしっかりするし、こうやって遊んでやると楽しそうに笑う。
 あんまり激しくやると母上に怒られるが俺はヴィーの無垢な笑顔を見ると何とも幸せな気持ちになる。

「ほほほ。エルは本当に良いお兄ちゃんですこと」

 臥せりがちな母もこのところ少し元気だ。

「わたくし、これから少しお父様の所に行かねばなりませんのでヴィエレッタの事、見ていて下さるかしら?」

 母上が優雅ににっこりと笑う。

「は~い、母上!」

 返事をしてから気がつく。
 そういえばいつもいる乳母が今日はいない。
 母上は小国の出のせいか元々侍女などを部屋に置きたがらないほうだがさすがにヴィーが生まれてからは大変で、自国から呼び寄せた乳兄弟を乳母として置いていたというのに。

 ……それにしてもあの父が他に女を囲っていたなんて。
 母上が出て行く姿を見送りながら昼に聞いたあの話を思い出す。
 優しくて物静かな母上が父王と揉めたという話だから、いかばかりの苦しみだったことだろう。

 くそ。父上の浮気者!!!
 いかに事情があろうともお優しい母上を苦しめるなんて酷すぎる!!
 父上なんか腹に愉快な顔を描いたうえ、背中には『ごめんなさい』とでっかく筆書きして国中踊りまわればいいんだ!!
 ……でもそうなったらそうなったでお優しい母上はきっと凄く苦しまれるだろう。

 母上……今頃父上とどんな話をされているのかな。
 きっと昔のことなど忘れたように優しい笑顔を向けてらっしゃるとは思うけれど、その心中を思うと胸が痛む。

「いけないお父ちゃまでちゅね~! 母上以外の女の人と仲良くするなんて~!」

 そう何気なく言ったとたん青ざめた。
 父上の所に行ったはずの母上がドアを開けて立ってらっしゃったのだ。

「エル……今なんと……」

「あ、違う! 今じゃなくてその、……昔の話をちょっと聞いてしてしまって……」

「……そう」

 母上はため息をついて傍にあった椅子に腰掛けた。
 そしてそのまま黙り込んでしまう。
 静寂が肌を刺して痛い。
 俺はなんて事を言ってしまったのだろう。

「……いつかあなたの耳にも入ると思っていたわ。
 でもこんなに早いなんて……」

 母上が悲しそうにポツリと呟く。
 俺は大馬鹿だ。大好きな母上を悲しませてしまうなんて。

「……ねぇエル。乳母にも探らせているのだけれど、あの子の居場所がわからないの。
 あなたは聞きました?」

 しばらく顔を伏せていた母上が決意したように顔を上げた。

「あの子?」

「ええ。王は城のどこかに生まれた子を隠し、住まわせているらしいのだけれどわたくしにもその場所を教えては下さらないの」

「……母上!! 妾妃の子供は死んだのではなかったのですか!!」

 思わず大声を上げると母上は動揺した。

「……あ……わたくしの勘違いです。そう、亡くなられました。
 ……この話は忘れなさい、エル。あの可哀想な子は死んだのです……」

 母上はそう言って悲しそうな顔をした。

 それは嘘だ。
 父上の不義の子はきっと生きている。
 でも俺は母上に弱い。
 母上を苦しめることになるこの件をどうしてもそれ以上聞くことはできなかった。



2.名前のない少年






 


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〔テーマ:二次創作:小説ジャンル:小説・文学

 
惹き込まれました!
 はじめまして、こんにちは。
 FC2小説の新着をクリックし、そちらを読む前に、ホムペを開いたら、あれよあれよと、最後まで読んでしまいました。
 まだ、新着も見てないのに……。

 おもしろかったです。
 まだ、どなたもコメントされていないみたいなので、ぜひ、起爆剤にでもなれば、と、残させていただきました。

 頑張って下さい。
 では、また。
橘 りお様
コメントありがとうございました!!

とりあえずFC2小説に投稿時にこちらのブログも作ったのですが、諸般の理由ですっかり放置してしまいました。
本当に申し訳ありません!!

あちらの方でのコメントもありがとうございます!!
頑張りますので応援してくださると嬉しいですv-238
なんかすみません
 返信、ありがとうございます。
 なんか催促するみたいにコメントして申し訳ありません。
 昨日、何ページか読ませていただきました。
 でもまだまだです。
 弟さんが、すごい訓練してるとこまでです。


 おせっかいながら、更新順の件。
 私も詳しくなくて、詳しい方のを見て、まねさせてもらったのですが、ノベルテンプレさんのノベルテンプレートをお借りして、ちょっと設定しなおすと、更新順じゃなくて、最初から順に表示されますよ。
 でもでも、このテンプレ、素敵ですよね? 
 このテンプレを気に入って、読み始めた、といっても過言じゃないので。
 このテンプレは、結城さんの?
 どなたかのをお借りしたのですか?

 こちらはあまり訪れないだろうに、またコメント残してすみません。
 これからは、あちらの感想欄にします。(またするんかい?←一人ツッコミ)

 では、また。
橘 りお様
またまたコメントありがとうございましたv-238
催促するようなだなんてとんでもない!!
せっかく時間を割いて読んで下さりコメントまでしてくださったのですから誠意をもって返信するのは当然の礼儀です。
それなのに気付けなくて本当にすみませんv-356

FC2ブログは以前2次小説を書いていたとき使って大変便利だったので今回も使用しました。

しかしFC2小説版を使うとブログより更に簡単なため、すっかりこちらは放置してしまいました。
それにしても小説用テンプレートがあるんですね!!
早速検索して行ってみました!!

今回はこのテンプレがすごく小説のイメージにあい気に入ってしまったため変更はしない予定ですが、いずれ使わせてもらおうかと思っています。
今使っているのはFC2ブログのテンプレから選びました。

橘さんもお忙しいでしょうに少しづつでも読んで下さり嬉しいです!

段々ほのぼのとした展開からは離れていくのでそこが少し申し訳なくドキドキしますが、時々ほのぼのさせながら頑張っていこうと思っています。


明日の更新を最後に1週間程おやすみしますが、春休み里帰りなだけですのでゆっくり読んで下さいネ!

またのお越しをお待ちしております!!
ありがとうございました!!!
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